想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

旅行に行くように入院する

入院すると決まったら、まず、持って行く本を考える。
なにせ、長い自由時間だ。
新しく買わないで、『ビッグ・ファット・キャット』シリーズを
数冊持って行って、英語の勉強をしていよう。
以前は、入院用の服(ユニクロで)も考えたが、
今回は短期間なので、あるものを持って行くことにする。

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脳梗塞で入院した時、入院を楽しんでいる人がいた。
その人は、定期的に入院しなければならない身体だった。
病院をお気に入りの宿のように話し、
3か月後にまた泊まりに来ると、楽しそうに教えてくれた。

余命がどうとか、悪性か良性かわからない時とか、
そんな不安な入院でなければ、入院は、楽しいものだ。
まず、長く不快な症状と闘った後の入院だとしたら、
もうすぐその辛い日々から解放されるかもしれない
という安堵感がある。
睡眠時間を惜しんで働き続けた人だと、
食事は出てくる、一日中、寝ていられるという幸せな日々。
普段話す機会も無いような立場の人や年代の人とも、
友達になって、修学旅行の夜みたいなのがあったりする。

何度か経験した入院生活は、
そんな楽しい日々ばかりだったので、
入院が決まっても暗くなることがない。
でも、さすがにやっと決まった仕事が
順調に波に乗りかけた時の入院は、がっくりとしたものだ。
なんでこんな時に…と。
それでも退院時には、友達になった方々と別れを惜しみ、
楽しい旅行の後のような爽やかな気持ちになっていた。

身体に傷をつけるのは、けっして心地よいことではない。
でも、放っておくことは出来ない。
大きくなった卵巣嚢腫を取って、
退院してお腹を見たら、ポコッと出ている下腹部が、
ペタンとなっていることを、期待している。