想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

昭和のOL

人間の脳の働きの中に
「慣れる」「忘れる」というのがあり、
とくに「慣れる」というのは、
生きていくために、重要なものだと思う。
どんなことにも、「慣れる」ことで、
ストレスが減少し、生きて行ける。

昔、OLの仕事の中に、お茶出しがあった。
男性より早めに出社して、
事務所の掃除をしてからお茶出しをする。
コーヒーならば、それぞれの好みを覚えて出す。
仕事中、電話対応はほぼ女性と決まっていた。
男性は、タバコを吸いながら、仕事をする。
タバコを吸うために、別の場所に行き、
雑談を始め、長い時間休憩することもある。
灰皿を洗い片付けるのは、女性の仕事。
電話対応しながら、接客しながら、
事務作業を懸命にこなす。
それでも、女性の給与は、男性より低かった。

あの時代は、不満に思いながらもそれが普通だった。
日本中の職場が、どこも同じようなものだと思っていた。
違うところもあったかもしれないが、
それを知る術(インターネット的な)がなかった。
だから不満に思いつつも慣れて、
"普通に"働き続けていた。
男性の立場では、また違った思いもあっただろう。
でも、たぶん、同じようにそれが"普通"と思っていた。

昔のそんな"普通"を経験していると、
今の時代の各種ハラスメントや男女格差とか
いちいち騒ぐことを不思議に思う。
同時に、生きにくいだろうなあ、と思う。
あまりにも広く深くたくさんの情報が入ってきて、
「慣れる」ことが出来ない。
不満はあったけれど、「慣れる」ことで、
ストレスが少なく生活し続けられた時代は、良かった、
と、昭和のOLは思う。