実家から少し離れたところに住んでいる娘(未婚)が、
かなり頻繁に実家に来ると、友人が言っていた。
余程居心地のいい家なのだろう、
余程"いい親"なのだろう、と思った。
私の親も"いい親"だ。
なんだかんだ言っても、どこの親より
一番"いい親"だと思っている。
世界で一番死んでほしくない人は、自分の親だ。
でも、たまにしか会いたいと思わない。
この矛盾した感覚は、いったいなんだろう。
中学生の頃に、親元を離れたい、
親の言うままに生きるのはイヤだと思っていて、
16才でひとり暮らしを実行した(実行させて頂いた)
そこに答えがある。
ひとり暮らしがしたかったと言っても、まだ16才だ。
ホームシックとの闘いは、何年も続いた。
でも、親元に帰りたいとは思わなかった。
実家が帰りたい家ではなかったから。
テレビで孫やひ孫を含めた大家族の
食事風景を見ると、羨ましいと思う。
たぶん、うちの親もこういうのが夢だったと思う。
でも実際は、息子との仲はいいが、
嫁や孫達とは疎遠になっているのが現状だ。
その弟のところの長女もまた、親と絶縁状態にあると言う。
母は19才の時、母親を亡くし、
父も若い頃に、父親を亡くし、
そのせいか、自分の子供を溺愛し、
自分が思う幸せの形に当てはめようとする人だった。
姉や弟に比べ、元々自我の強かった私は、
それに耐えられなかった。
母は高齢になり、今度は、自分の幸せな人生のために、
"子供"を組み込もうとしている。
それが親への当然の恩返しだと思っている。
私も高齢になり自分の老後の不安もある中で、
ますます実家が遠くなる感がある。