想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

最後のおやつ

同じ歳の従妹の孫は、男の子2人。
幼児の今からイケメンだった。
ただでさえ、孫はかわいいと言う中で、
あんなにかわいいと将来が楽しみでしかたないだろう。
孫の存在が、去って行った母(伯母)の存在を
薄くしているようだった。
それは、薄情というのではない。
その切替えこそが命を繋ぎ、人間の歴史なのだと
なんか、大きなことを思った。

皆それぞれに家族や仕事のことあれこれ考える中で、
子のいない無職で独身の私だけが、
真摯に伯母の人生を見つめ、
思い出に浸っていたように思う。
かわいい孫たちが、親に教わりながら、
手を合わしたり、花を置いたりする様子を
いつものあの笑顔で見ていたと思う。
そして、いつものあの高い声で、
笑っていたと思う。

専業主婦とは言っても、
洋裁と書道が、得意というのを超えている人だった。
早くに他界した母親に代わって、
兄妹の面倒をみていたから、姪の私にも厳しかった。
甘やかすということを
自分にも子供にもしない人だった。

去年、コロナ明けに10年以上ぶりに見た時は、
すでに別人になっていた。
六花亭のお饅頭が食べたいというので持って行ったあの日、
「昼食前だから」と言ったのに、
聞き分けの無い子供のように食べ、
「美味しい」と言った伯母。
たくさんあるお菓子の中で、"六花亭"のお菓子を選んだ。
人生最後のおやつに選ばれるって、スゴイことだ。
(私は、やっぱり六花亭の「チョコマロン」かな)

『ライオンのおやつ』を思い出した。