想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、             60代になった今もこれからも

優しいだけでは

昔、「介護」の仕事は無かった。
たぶん「福祉」の中に含まれていたのだと思う。
短大で就職活動をしている時も、
介護職の求人を見たことが無いし、
そういう仕事に就いた友人もいなかった。
ちなみに求人といえば、ほぼ正社員の募集だった。
パートやアルバイトは、学生か家計の足しに働くという主婦が
対象だった。
約半世紀が過ぎ、随分変わったなと思う。

介護という仕事は無かったけれど、
介護をしている人はいた。
長男の嫁とか娘。
当たり前のように行っていた。
とは言え、今ほど長生きではない時代だから、
長期的に・・というのは珍しかったのではないか?

長寿時代の今、お金の有る無しで、
老後生活はいろいろな道に分かれる。
それは、生活の形態が違うだけで、
幸不幸を分けてはいないが。
介護施設に入所させた方がいいような親を抱えた息子でも、
幸せに暮らしている人もいれば、
サ高住に入居出来るくらい裕福でも、死んだら連絡がほしい、
という子供しかいない人もいる。

うちの母は、歳を取ったら子供が
介護してくれるのが当たり前という時代の人だ。
サ高住に入れる年金収入があっても、
そこに入ること=子供に見捨てられた、と感じるようだ。
私はサ高住で働いた経験から、高齢者の"終の住処"として、
サ高住・介護施設・病院が一体化したような施設が
理想的だと感じた。
(もちろん、自宅で自立した生活が送れるのが一番なんだけど)
姉や弟は、そういうところに入所させることに
後ろめたさや哀しさを感じているようだ。
じゃ、ずっと母親の傍にベッタリくっついて、
最後の最後まで面倒を見る事が出来るのか?
出来ないのに、優しいことだけ言う。
13階段の優しさ”なんて…と思う。