90代に入れば、本人も家族も、
ひとり暮らしが心配になり、施設への入所を考える人が多い。
介護施設には入れないからと、サ高住を検討する人もいる。
サ高住ならば、食事の支度をしなくていいし、
急病の時には、スタッフが駆けつけてくれて安心だ。
テレビでは、"夢のような老後の住まい"的なCMが流れている。
サ高住で働こうかと思っている人はどうだろう。
自立している人ばかりだから、施設のように大変な介護も無いし
楽だろうと捉えていないだろうか。
両者のイメージがそのとおりだと、
サ高住は、高齢者の"夢の棲み処"になりえるはずだ。
でも、先日、サ高住のスタッフが入居者(94才)の方に暴行し、
死なせたという事件があった。
暴行した若いスタッフの資質に問題があったとも思うが、
問題なのは、「サ高住は介護施設じゃない」というところにあると思う。
まず、早番遅番の重なり時間以外は、スタッフは1人だ。
また、自立していることが条件で入居のはずが、
運営会社が空き室にしておくことの損失を減らすために、
介護度の高い人を何人も入居させる。
介護施設なら、複数人で対応するところを、サ高住は1人だ。
食事や事務処理、管理人業務、そして介護、救急対応。。。。
ちゃんとやろうとすればするほど大変になる。
スタッフを増やすと解決するとも言えない、
運営会社は人件費を抑えたいだろうし、
増やしたところで、改善するとも限らない。
ただ雑談して過ごすような人材しか入ってこないということもある。
暴行はさすがに稀だと思うが、
暴言を吐くような人は少なくない。
入居者の方に、涙目で相談されたことが何回もあった。
サ高住のスタッフには、介護の資格よりも対人スキルが必要と思う。
管理人という意識でいられる人は、長く働けるかもしれない。
入居者にとって、サ高住の唯一の良い点は、
急死の時、何日も発見されない、
ということが無いことくらいだろうか。