母と伯母の面会に行った。
昨日で4回目。
ドアを開けてベッドで寝ている顔を見た時、
一瞬間違ったかと思い、もう一度ネームプレートを確認した。
髪がほとんど無く(原因不明)、肉が落ちた顔、
すぐに伯母とわからない。
何年かぶりの再会だったなら、泣いただろう。
9月に面会に行った時、パンが食べたいと言ったので、
何種類か柔らかそうなものを持って行った。
「よもぎあんぱん」を気に入ってくれた。
入れ歯を入れていない口の中に
小さく千切って入れてあげると、
自分で食べると言ったので手渡した。
こんな様子…病院の入院患者なら、
もう長くは無いだろうと、悲壮感が漂うところだが、
介護施設の入所者なので少し違う。
相変わらず、私の服のコーディネートを褒めてくれるし、
母の「姉さんの歳は?」の質問に「92歳」とはっきり応える。
言葉は、はっきりしないが、脳はまだ大丈夫と安心している。
面会を終えて帰り道、
20代の頃に住んでた付近の国道をバスは走る。
両側の建物を見ながら、
40年前にあったものが残っているか探したが、
川の近くのマンション1棟だけしかわからなかった。
最近、人や建物が消えたり、
消えつつあったりすることが重なり、
世の中が寂しく変わって来たように感じていた。
でもこれは歳を重ねた人だけが味わう現象だった。
若い人は、新しく出来たり生まれたりしている、
キラキラした世界を感じているはずだ。
実は私も、今月出来るいくつもの
新しい建物のオープンを楽しみに待っている。
消えていくものに、いつまでも感傷的に浸ってはいられない。
大きなことを言ってしまえば、
こういう切替が、人類の歴史を繋ぐのだ。