想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

違う世界

母と伯母の面会に行った。
昨日で4回目。
ドアを開けてベッドで寝ている顔を見た時、
一瞬間違ったかと思い、もう一度ネームプレートを確認した。
髪がほとんど無く(原因不明)、肉が落ちた顔、
すぐに伯母とわからない。
何年かぶりの再会だったなら、泣いただろう。

9月に面会に行った時、パンが食べたいと言ったので、
何種類か柔らかそうなものを持って行った。
よもぎあんぱん」を気に入ってくれた。
入れ歯を入れていない口の中に
小さく千切って入れてあげると、
自分で食べると言ったので手渡した。
こんな様子…病院の入院患者なら、
もう長くは無いだろうと、悲壮感が漂うところだが、
介護施設の入所者なので少し違う。
相変わらず、私の服のコーディネートを褒めてくれるし、
母の「姉さんの歳は?」の質問に「92歳」とはっきり応える。
言葉は、はっきりしないが、脳はまだ大丈夫と安心している。

面会を終えて帰り道、
20代の頃に住んでた付近の国道をバスは走る。
両側の建物を見ながら、
40年前にあったものが残っているか探したが、
川の近くのマンション1棟だけしかわからなかった。

最近、人や建物が消えたり、
消えつつあったりすることが重なり、
世の中が寂しく変わって来たように感じていた。
でもこれは歳を重ねた人だけが味わう現象だった。
若い人は、新しく出来たり生まれたりしている、
キラキラした世界を感じているはずだ。
実は私も、今月出来るいくつもの
新しい建物のオープンを楽しみに待っている。
消えていくものに、いつまでも感傷的に浸ってはいられない。
大きなことを言ってしまえば、
こういう切替が、人類の歴史を繋ぐのだ。