古い携帯電話に保存されている動画を
時々開いている。
そこに、ひ孫と映る父の姿と声がある。
その声を聞くと、
今でも実家のあの家にいるように錯覚する。
親元を離れた時期が早かったためか、
私の親は、受話器や携帯電話の中の声だ。
歳を取ると声が変わると言われる。
確かに女性は、低くなったり、ハスキーになったりする。
でも男性は、あまり変わらない人が多い。
これは男性には変声期があるせいかも?なんて思う。
外見は、好みではないが、
声で好きになるということがある。
外見は、見飽きるし、老化するけれど、
心地良い声というのは変わらない。
発する言葉も心地良いと尚良い。
大切な人が他界した時、
触れることの出来る身体がなくても、
声が聞けて、会話が出来たら
きっと喪失感は、大きくないだろうと思う。
SF小説的な発想だけれど・・・・
「お父さんより6才若かったお母さんは、
お父さんより年上になったよ。」と言ったら、
「そうかあ」と笑いを含んだ声が返って来そうだ。
「ちびまる子」の声優が亡くなって、
悲しくなるこの気持ちは、
描かれた姿がより、
声が「ちびまる子」だったから。
声が人なのだ、と思う。