想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

パンの雲

ソファーに座って、
青空にポッカリ浮かぶ雲を見ていると、
これが私の住む世界なんだ、と思う。

こないだ、おぞましい本に懲り懲りしたので、
蜜蜂と遠雷』の恩田陸の本ならば、
私向きだろうと、何冊も適当に借りて読んでいた。
何冊か読んだ時にうすうす気が付いた。
恩田陸も私のメルヘン脳には向かないかもと。

さっき読み終わった『夜の底は柔らかな幻』は、長編。
昨日から一気に読み終えた。
そういう意味では面白かったと言えるかもしれないが、
私はその世界から離れたい一心で読み進めていた。

超能力、骨が粉々、血の塊、死体の山・・・、
本を閉じても引きずりそうな世界だった。
昨日は、夜中に目が覚め、眠れなくなった。
前の職場の憎々しい面々、理不尽な出来事、
私は被害者だ、という思いが広がり、
昔のコンクリート事件の被害者こそが、
いやいや、今まさに戦争に巻き込まれている人々が、
理不尽な被害者の極みだとか、頭を巡っていた。

この小説は、純粋培養されたメルヘン脳の
私には、刺激が強すぎた。
こういう本やアニメや
殺戮を繰り返すゲームに親しんいる子供達の中に、
私のような脳の子供はいるんだろうか?

昭和30年頃に子供だった人の多くは、
こんな脳だったんじゃないだろうかと思う。
親や祖父母が戦争を経験したからその反動で
惨たらしさの無いものが創られ流されていたから。

人間の本質にあるものを見ないようにしていると、
「子供」と言われるかもしれない。
でも雲を見ながら、動物やパンをイメージする心は、
いつまでもあってほしい。