ソファーに座って、
青空にポッカリ浮かぶ雲を見ていると、
これが私の住む世界なんだ、と思う。
こないだ、おぞましい本に懲り懲りしたので、
『蜜蜂と遠雷』の恩田陸の本ならば、
私向きだろうと、何冊も適当に借りて読んでいた。
何冊か読んだ時にうすうす気が付いた。
恩田陸も私のメルヘン脳には向かないかもと。
さっき読み終わった『夜の底は柔らかな幻』は、長編。
昨日から一気に読み終えた。
そういう意味では面白かったと言えるかもしれないが、
私はその世界から離れたい一心で読み進めていた。
超能力、骨が粉々、血の塊、死体の山・・・、
本を閉じても引きずりそうな世界だった。
昨日は、夜中に目が覚め、眠れなくなった。
前の職場の憎々しい面々、理不尽な出来事、
私は被害者だ、という思いが広がり、
昔のコンクリート事件の被害者こそが、
いやいや、今まさに戦争に巻き込まれている人々が、
理不尽な被害者の極みだとか、頭を巡っていた。
この小説は、純粋培養されたメルヘン脳の
私には、刺激が強すぎた。
こういう本やアニメや
殺戮を繰り返すゲームに親しんいる子供達の中に、
私のような脳の子供はいるんだろうか?
昭和30年頃に子供だった人の多くは、
こんな脳だったんじゃないだろうかと思う。
親や祖父母が戦争を経験したからその反動で
惨たらしさの無いものが創られ流されていたから。
人間の本質にあるものを見ないようにしていると、
「子供」と言われるかもしれない。
でも雲を見ながら、動物やパンをイメージする心は、
いつまでもあってほしい。