想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

幸せの裏側

年の初め、高めという予報だったのに
水道凍結の可能性がある気温まで下がることを知り、
予定を変更して、一日早く帰宅した。
やっぱり、ひとり暮らしのこの部屋に戻るとホッとする。
下の階に闇があっても。

実家では、大掃除と片付けをしていた。
母は、自分の"城"をかき回されて喜んではいない。
でも、入れ歯のケースに黒いカビがあったり、
台所や掃除関連の消耗品が、何年も押し込められて、
埃(カビも)だらけになっているのでキレイにしていた。
母の身体や生活を考えてしているのだけど、
母には余計なことにしか思われない。哀しい。

お風呂掃除をしていた時、事件が起きた。
水が入ったままの浴槽(深めの形)上で、
蓋をゴシゴシこすっていたら、
足元が滑り、蓋と共に頭から浴槽に落ちてしまった。
水の中で声も出せず、とにかく頭を出そうとしてもがいた。
着ていたプルパーカーやレギンスパンツは、水を吸って重く、
身体を上手く動かすことが出来ない。
なんとか顔を出し、息が出来た。
居間にいるはずの母に着替えを出して貰おうと
声をかけたが耳が遠くなっていて返事が無い。
びしょ濡れの身体にタオルを巻き、居間に行ったら、
母は、マッサージ機をかけていた。

昨日、私が下の階の母娘の話をしたことから、
母の苦労話は始まった。
私のためにどれだけ大変な思いをしたか、
どれだけお金を使ったか・・・
どれだけ頭を下げたか・・・
親から育ててきた恩を感じろと言われると
感謝の気持ちを失う。心は平行線。
こんな哀しい気持ち、過去に何度味わっただろう。
一見、仲良し親子の真実はこんなもの。

夕方、アパートに帰ってきた。
水道が凍結していなかったことにひと安心して、
テレビを付けたら、二度と見たくないと思っていた画面。
津波」「にげろ」
眉間に暗い物が貼りついたままになった。