想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

私の"世の中"

カラオケ店に向かう朝の道は凍っていた。
後ろでガタッと倒れる音がして、
何かあったら助けよう~みたいな勢いで、
「大丈夫ですか?」と大きな声で言いながら振り返ったら、
30代の男性会社員が自転車と共に倒れていた。

彼は、照れて(転んだら誰でもそんな顔になる)
大丈夫と言ったので、私はそこを離れた。
横断歩道に立っていたら、後ろから、
さっきのお礼を言いながら彼が近づいてきたので、
「痛かったでしょう」などと会話をしていた。
信号が青になり彼は自転車にまたがって走り出した。
その背中に向かって「気をつけて」と声をかけた。
たぶん、彼はいい一日のスタートになったと思う。
私も、爽やかな一日がスタートした。

以前、横断歩道の途中でめまいがして、
ようやく歩道に辿り着き、電柱に掴まって
めまいが治まるのを待ったことがある。
その時、私の様子から、心配して近くで見ている中年の男性がいた。
私が女で、若いとか美人とかじゃなくても、
助けたいという気持ちは誰にでもあるものだと思った。
見ず知らずの人に、自分を大切にされた思いが、
今度は自分が他人にもそうしようということに繋がって、
世の中は、良くなっていくと思う。

物騒だとか、嫌な世の中になったとか言う人がいるけれど、
他人に自分のイライラをぶつけている人が
他人にイライラをぶつけられ、
それが、その人の"世の中"になって、そんなことを言う。

コンビニから出る時、後ろの人のためにドアを開け押さえていると、
高校生の男のコだって、お礼を言ったり、頭を下げたりする。
最近の若いコ、と非難されるようなコは、どこにいるの?
世の中、信じては危ない人も多くなっているのは事実だけど、
ほとんどの日本人は善良だ、と思う。