想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

運命の梯子

梯子の途中まで登って下を見たら、
地面が物凄く下にあり、高所恐怖症の私は、
怖くてクラクラして、もう駄目だ…死んでしまうと思った。
でもすぐに、イヤ、諦めないで降りる!と思い直し、
一歩ずつ降りて行った。
地面に着いてから、今登った梯子を見上げた。
それほどの恐怖を感じるような高さでもなかった…と思った。
今朝の夢の話だけど、リアルだった。

去年の今日だ、辞める決心をしたのは。
辞めるという重要な決心なのに、
今までになくとても早かった。
一年経った今でも、入居者の方々を思い出す度に、
懐かしく切ない気持ちになる。
反対に、職員を思い出した時には、
憎々しい腹立たしい気持ちが蘇る。
人が悪かったんじゃない、
会社がそういう人にしたんだとわかっていても。
初めての寝汗、長引く膀胱炎、経験したことの無い腰痛…
身体に表れた症状が心に転移してしまう前に、
逃げて良かったと思う。

毎月、給料を貰い、少しずつ老後資金を増やしていくのが
当たり前の生活から、少しずつ減って行くようになり、
年金生活に入る前なのに、慎ましい生活になった。
老後も安泰の周りの人達が羨ましい。
でも、その周りの人から見たら、
夫の病や介護が必要な親の面倒、
子供の暮らしの心配などが無い私、
米寿を迎えた母や友人と楽しく街歩きをしたり
食事をしたりしている私が羨ましいかもしれない。

あそこで諦めないで良かった。
梯子を降りると決めて良かった。
死なないことが最も大切なことだから。
でも高所恐怖症のくせに、
梯子を登ろうとしてしまうことの方は、問題だ。