想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

『ふたつのほくろ』

或る女は、鏡を見ながら思いました。
もうカワイイと言われなくなった。
どんなにお化粧をしても、
かわいくもキレイでもなくなってしまった。
塗るだけで美人になる魔法の口紅があるといいのに…
鏡を見る時いつもそう思っていました。

ある時、唇に黒いほくろのようなものがあることに気付きました。
これがあるから、老けて見えるんだわ。
或る女は、そう思って病院に行き、取ってもらいました。
医者は、気になるところがあればまた来てくださいと言いました。
友達に、ほくろを取ったことを話すと、
ほくろがあったことに気付いていませんでした。

ある時、眉にほくろがあることに気付きました。
このほくろを取れば、美しい眉が描け、
キレイになるかもしれない。
或る女は、また病院に行き、取ってもらいました。
医者は、気になるところがあればまた来てくださいと言いました。
友達に、ほくろを取ったことを話すと、
また、ほくろがあったことに気付いていませんでした。

或る女は、思いました。
気になるところがあっても、もう病院には行かないと。



一般の人も普通に美容整形をする時代になってきているようだ。
確かに、井川遥のような顔になれたら!と思わないではないが、
顔が変わると、自分が自分でなくなるようで嫌だ。
また、例えば恋人が横浜流星のような顔に整形する、
と言ったら、やっぱり嫌だろう。
多少、情けないような造形であっても、
情けない顔のままでいてほしいと思う。


或る女は、私。