或る女は、鏡を見ながら思いました。
もうカワイイと言われなくなった。
どんなにお化粧をしても、
かわいくもキレイでもなくなってしまった。
塗るだけで美人になる魔法の口紅があるといいのに…
鏡を見る時いつもそう思っていました。
ある時、唇に黒いほくろのようなものがあることに気付きました。
これがあるから、老けて見えるんだわ。
或る女は、そう思って病院に行き、取ってもらいました。
医者は、気になるところがあればまた来てくださいと言いました。
友達に、ほくろを取ったことを話すと、
ほくろがあったことに気付いていませんでした。
ある時、眉にほくろがあることに気付きました。
このほくろを取れば、美しい眉が描け、
キレイになるかもしれない。
或る女は、また病院に行き、取ってもらいました。
医者は、気になるところがあればまた来てくださいと言いました。
友達に、ほくろを取ったことを話すと、
また、ほくろがあったことに気付いていませんでした。
或る女は、思いました。
気になるところがあっても、もう病院には行かないと。
一般の人も普通に美容整形をする時代になってきているようだ。
確かに、井川遥のような顔になれたら!と思わないではないが、
顔が変わると、自分が自分でなくなるようで嫌だ。
また、例えば恋人が横浜流星のような顔に整形する、
と言ったら、やっぱり嫌だろう。
多少、情けないような造形であっても、
情けない顔のままでいてほしいと思う。
或る女は、私。