昨日の夕方の空は、朝焼けのような夕焼けだった。
こないだ雷と共に狂ったように雨を降らせた空は、
別人のように穏やかな顔をしていた。
やっと私の好きな秋になった。
今年は季節が夏しかなかったみたいに、長い夏だった。
汗でねちゃねちゃの腕、ゴワゴワの髪に
ただ耐えているだけの夏だった。
太陽が沈む前の光が部屋の中に広がり、
TVも何もつけていないと、車の走る音が遠くに聞こえるだけ。
歩く人のない住宅街は静かで、寂しい、と思った。
この寂しさは、秋ということ、静かということ、
それから、"無い"ということ…
"無い"は、これまであったはずの身体的な見た目や能力、
人との関わり、夢とか目標とか。
煩わしいと感じた人との関わりも、
人生にいくつもあったはずのハードルさえ、
無くなると寂しいものだ。
美味しいお寿司やスイーツを食べてきたら、紛れるかもしれない。
いつものウォーキングコースを
いつもより長く歩いて来たら、紛れるかもしれない。
求職活動を始めたら、シビアな現実を前に
寂しいなんて言ってられなくなるかもしれない。
寂しい時、友人に電話をして話したり、
遊びに行く約束をしたりして、
すぐに寂しくはなくなったものだ、若い頃は。
今、それが出来ないのは、
家族や兄弟の健康問題などをいくつも抱えているから。
私の寂しさに付き合わせられない。
独身の私の寂しさなんて、むしろ幸せの証ではないか。
寂しさとか孤独感とか、その人の背景によって、
濃度がものすごく違う。
お寿司やスイーツで紛れる寂しさなんて、
極々薄い。