1時間ほどで帰れる実家は、小さな町にある。
私がいた頃は、お店も人も多く、
小さいながらも住みよい町だったが、
訪れる度に寂れていく景色。
都市部にだってそういう区域も増えているのだから、
仕方がないのだけど、なんだか寂しい。
この町に行列が出来るようなお店を出して
誰か盛り上げてくれないだろうか?
私には出来ないから。
母の病院に付き添い、医師の話を聞いた。
今回家族が呼ばれたのは、
思っていたとおり、深刻な病の話ではなく、
高齢者の母に、ちゃんと話が伝わらないので、
通訳のような形で呼ばれたのだ。
耳がそれほど遠いわけではないが、
高齢者によくある「質問に対して
余計なことや的はずれなこと」を話し出すから。
医師は私の方だけ向いて説明をしていた。
私はメモを取りながら、返答する。
結論としては、母は元気で何の問題もないということ、
とりあえず心電図等の検査をしましょう、ということ。
実家の庭は、相変わらずキレイだった。
観光地の小さな庭園といった感じ。
母は、「町で一番キレイな庭」と言われたと自慢していた。
久しぶりに実家に一泊し、
母の知り合いや私の同級生の家族の"その後"
それから苦労話に噂話・・
普段、整然とした部屋でひとり暮らしている私は、
その洪水のような大量の話に、疲れ切ってしまった。
私も珍しく、会社を辞めた理由を話したが、
話って、言ってしまえば楽と言われるが、
言わない方が楽なこともあると思った。
今日はひとり、近所の外壁工事の音に
癒されている。