想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

離れて暮らす母

1時間ほどで帰れる実家は、小さな町にある。
私がいた頃は、お店も人も多く、
小さいながらも住みよい町だったが、
訪れる度に寂れていく景色。
都市部にだってそういう区域も増えているのだから、
仕方がないのだけど、なんだか寂しい。
この町に行列が出来るようなお店を出して
誰か盛り上げてくれないだろうか?
私には出来ないから。

母の病院に付き添い、医師の話を聞いた。
今回家族が呼ばれたのは、
思っていたとおり、深刻な病の話ではなく、
高齢者の母に、ちゃんと話が伝わらないので、
通訳のような形で呼ばれたのだ。
耳がそれほど遠いわけではないが、
高齢者によくある「質問に対して
余計なことや的はずれなこと」を話し出すから。
医師は私の方だけ向いて説明をしていた。
私はメモを取りながら、返答する。
結論としては、母は元気で何の問題もないということ、
とりあえず心電図等の検査をしましょう、ということ。

実家の庭は、相変わらずキレイだった。
観光地の小さな庭園といった感じ。
母は、「町で一番キレイな庭」と言われたと自慢していた。
久しぶりに実家に一泊し、
母の知り合いや私の同級生の家族の"その後"
それから苦労話に噂話・・
普段、整然とした部屋でひとり暮らしている私は、
その洪水のような大量の話に、疲れ切ってしまった。
私も珍しく、会社を辞めた理由を話したが、
話って、言ってしまえば楽と言われるが、
言わない方が楽なこともあると思った。

今日はひとり、近所の外壁工事の音に
癒されている。