朝早くに電話が鳴った。
朝早い電話というのは、だいたいは不幸の電話だ。
一瞬ドキッとしたが、スマホの画面が母だったので、
母に何かあったわけではないと安心して電話に出た。
弟の奥さんの父親が亡くなったという話だった。
母から連絡が来たので、一応通夜には出席することにした。
"一応"というのには、理由がある。
弟の家族とは、ほとんど付き合いが無いのだ。
弟に2人目の子供が出来、家を建てた時期から、
うちの親との関係が険悪になっていた。
これは想像なのだけど、たぶん、父が、何か、言ったのだ。
それから、奥さん(義理の妹)は、
実家に来なくなった。お正月やお盆にも来なくなった。
両親は、孫を可愛がっていたが、
その孫にも会えなくなった。
でも、何かにつけお金を弟経由で渡していた。
”坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”ということか、
娘の私達も避けられるようになった。
弟の子供達に弟経由でお年玉を渡しても、
お礼を言われたことも無かった。
もう、二十年近く疎遠になっているから、
最近では親戚という意識もなくなっていた。
そんな中で今回の話だ。
父の一周忌以来会っていない弟家族
(弟とは、時々会っている)と会う。
父が亡くなった時、
向こうのご両親が実家に訪れ、
お世話になった記憶があり、
その小さな恩を返すために、通夜に出席する。
未婚一人暮らしの私。
気楽に生きているようでも、
いろいろな柵はあるもので…