急に、初冬になった。
ストーブを点けた。
いつもより一週間くらい早い。
こないだ年末調整の書類のこと考えたと思ったら、
もうすぐまた考える月になる。
あれから一年何をしていたんだろう。
チームバチスタのシリーズ本を
読み漁った夏の記憶だけは、はっきりしている。
入社してすぐの頃、
自分史を書いたという入居者のHさんから、
読んでほしいと言われ読み、感想文を付けて返したら、
とても喜ばれ、他の方々にも絶賛された。
あれから亡き父と同じ歳のHさんは、
私を娘のように特別な存在に思ってくれるようになった。
この夏の終わりに私が救急車を要請し、
Hさんは一命を取り留めた形になったが、
がんが見つかり余命半年から1年と宣告されてしまった。
若い人と90代の人と
"余命"の捉え方は違うと思うが、
死を受け入れるまでの過程は、
年令には関係ないだろう・・
思い返したらニヤリと笑いたくなることもあった。
うわーと感動したこともあった。
悔しい思いもした。情けない思いもした。
酷いことをした。酷いことも言われた。
惨めだと思ったこともあった。
うれしくて泣きそうになったこともあった。
歳を取れば取るほど、
いろんなことがあって、あり過ぎて、
もう疲れた、もうここらへんで終わっても、
悔いは無いなと思えるようになっている、60代の私でも。
90代のHさんには、その時まで、
頑張って、と言うより、
少しでも楽しく暮らせるよう、
優しく寄り添えたら、と思うばかり。