想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

貴重で大切な人

普段、私が仕事の話をし出しても目を合わせず、
一言ボソッと返すだけの責任者Nは、
文句を言う時には、しっかり目を見て大声で言う。
交代の時間で帰る時、一応挨拶をしようと
事務所に行くと、姿が見えない。
自分の都合の悪い相手や、
会いたくない人に会わないように
「どこかに隠れる」らしい。
今まで、知的障害者の施設で20年も勤務し、
それなりの立場になり、自尊心の塊のような彼女が
そんな情けない行動をする。哀れだ。

一昨日の休みに短大からの友人に会った。
彼女とは、一度もケンカをしたことが無い。
言い合いもしたことが無い。
本心を言っても、ケンカにならない。
喜怒哀楽が少なく穏やかで空気のような人。
遊びに行く相手としては、物足りない感じではある。
他の友人とは、職場の愚痴や時には悪口を言って、
ストレスを解消していたが、
彼女と会っていると、そんな事を延々話す気にすらならない。

食事して、デパートや地下街を歩いて、
雑貨屋さんに入って、別々に見て回り、
一緒に出て、次の店に入り、服を見て。
茶店(カフェじゃなく)に入って、
「こんな昔っぽいお店は落ち着くよね」なんて笑い合う。
この歳なら誰でも抱えている老後や介護の話も、
深く語り過ぎることがないから、別れた後も心が軽い。
短大の時からずっとこんな心地良い空気感のままだ。
彼女はきっと、余命何年という病気になっても、
ジタバタしないで、穏やかな顔をして告白するのだろう。

学生時代の多くの出逢いの中から選んだ友人と、
職場でたまたま出会った人と比べるのは、無理があるが、
Nと友人との人柄の違いに、
本当に人間っていろいろだなと思う。