運転しなくなって、もう10年以上過ぎてしまった。
車を手放した理由は、経済的なこと、身体的な不安からだった。
今住んでいる所は交通の便も良く、必要ないのだが。
でも、休日の朝、晴れた青い空を見ると、
運転席に飛び乗り、海岸線を目指して走りたいと
時々思うのだ。昔のように。
歳を取った人の運転は危険だからと、
高齢者に運転させないようにする空気があるが、
そう言っている若い人も、
自分はまだまだ大丈夫だと乗り続けるのだろう。
今日は昨日の続きだから、昨日まで出来たことが
今日出来なくなるなんて思わないんだ。
運転だけじゃなく、何事も。
そうやって歳を取っても、若い頃の感覚のままでいる。
私は、運転が大好きだった。
でも、不向きだったと思う。
安定した気持ちで走ることが出来なかった。
自分のためにも人のためにも、もう運転しない方が良い。
それに・・・もう十分、運転の愉しみを味わった。
北海道一周、日本縦断。
知らない道を走る不安と期待、
突然現れた絶景を目にした時の感動、
人とのふれあい。・。・。・。・。・。・。・。・。
運転期間約20年でたくさんの思い出が出来た。
免許証の更新のお知らせが来て、
もうハンドルを握ることもないと思っていたけれど、迷っている。
それは、いつか母が介護が必要な状態になった時、
運転せざるおえない状況になるかも?ということがあるから。
でも一番は、免許証の写真を撮るのが嫌なのだ。
この写真ほど、残酷な物は無い!
普段マスクをしていて、
若い!カワイイ!と煽てられている世界から、
真実の姿を見よ、と現実の世界に
真っ逆さまに突き落とされる、恐怖。