想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

大雪との闘いのあと

玄関前にスチロールの箱があった。
置き配なんて頼んでいない。
ちょっと気味悪かった。
よく見ると、隣の部屋の人が置いて行ったものだった。

ここは今は少なくなった外階段があるアパートで、
冬になると階段から廊下にかけて雪が積もる。
私の部屋の場所はとくに雪が積もる位置にある。
3階から地上に雪を落とすと、向かいの棟の住人が、
落とした雪も除雪、つまり融雪溝に入れろと苦情を言ってくる。
車を持っていない住人は、車庫前を除雪する必要が無い。
だから、車通勤しているその住人は、
自分だけが除雪していると怒っているのだ。

私は車を持っていないので、
本来なら、玄関前や廊下と階段だけ除雪すればいいはず。
でも、苦情を言われたくないばかりに、
私が使用する階段や廊下から雪を落とし、
地上に落ちた雪を融雪溝に入れるという作業を
小さな除雪用スコップで行っている。
私の部屋は3階なので、
ここの棟の人のほぼ全ての道は、それで確保されることになる。

隣の人の玄関前は、”ついでに”行っていただけだった。

その箱の中身は、お礼の手紙・野菜やみかんだった。
あまりいい印象の無い人だったが、
文字も文面もちゃんとしていて、意外だった。

ここに引っ越してから、6年。
向かいの棟のように小まめに除雪する人がいないから、
階段が雪に埋まって危険な状態になることが多かった。
ここの棟でたぶん一番年寄りの私が、しかも女の私が、
見るに見かねてときどき除雪をしていたのだった。
今回は、大雪ということもあり、ホントに大変だった。

誰も見ていない、誰も気づいていないと思っていたが、
予想外のことで、ちょっとうれしかった。