今の生活を聞かれたら、「充実している」と応える。
充分な老後の資金があるわけではない。
遣り甲斐のある良い職場に勤めているわけではない。
それどころかパートで賃金は高くなく、不満も多い職場だ。
身体だって不安なところがたくさんある。
なのに、幸福感に等しいこの"充実感"はどこから来るのだろう。
今まで、大変過ぎたせいではないだろうか。
1つ前の職場では、二度と出来ないと思うほどの
作業量を今と変わらない賃金でやっていた。
周りの人間も酷かった。
身体も悲鳴を上げていた。
あのまま働き続けていたら、心も体も壊れただろう。
あの経験があるから、今の慣れない仕事でも平気でこなせる。
転職回数14回。どんな仕事の時も苦しかった。
仕事が出来ないから、というのではない。
根っからの負けず嫌いと真面目さゆえに、やり過ぎるのだ。
会社員の時は、自己評価を気にし過ぎて、
見合った評価がされないことに苛立ち、
見合った報酬が貰えないとやる気をなくしていた。
いつも全力の短距離走をしていた。苦しかった。
穏やかな心でいられなかった。
また若い時は人並みに恋愛もしたが、
仕事と同じように悩み苦しかった。
自我が強いばかりに、多くの人が進む道(結婚)には、向えなかった。
60代になり、やっと解放され、楽になった。
もう60代?
まだ60代?
まだまだ今の生活を続け、生きていくつもりだけれど、
これで人生が終わっても、悔いなどないような気持ちでいる。
日本縦断をしたことも、好きな人との楽しい出来事も、
会社での苦労も、入院して大変だったことも、
全てひっくるめて、楽しい人生だったと言えるから。
これからも大変なことがあるだろう。
でも、また、全部ひっくるめて、楽しい、と思うだろう。
そんな年頃になったのだ。