想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

宝物の一人

10年ぶりに短大時代の友人に会った。
一番仲良かった人なのに、
どうしてこんなに疎遠になっていたのか。
それは、私が会おうと動かない限り会うことは無い人だったから。
当時からそうだ。
彼女は、自分から会いたいとは言わない。
いつも受け身で、悪く言えば面白みの無い人。
自分から積極的に動く私とは対照的なのだ。
そんなところに魅かれ、声をかけて友人になった。
あっと言う間に10年が経ち、
今の仕事に就く時に、相談の電話をしたのがきっかけで
会うことになった。

彼女は、離婚するまで、挫折を知らない人だった。
順調に進学し、順調に就職し、23歳で結婚し・・・・
でも、旦那がギャンブルで借金を作り、
取り立ての電話に苦しむ日々を過ごした後、離婚した。
その後、工場で働いたが、低収入のため、
今の介護の仕事に就き、看護助手の仕事に代わり
正職員として病院で働いている。
何十万かの賞与も貰っていると話す彼女は、
安定した生活の中、穏やかな顔をしていた。
この歳で夜勤もしていればやつれているのではないかと
心配していたが、相変わらず清楚な雰囲気で、ホッとした。
年金受給予定額が私と同じくらいと聞いて、
私は、複雑な思いがした。

50歳近くで離婚して、働き出した主婦と
働き続けている独身の私と、
老後の収入が同じくらいになってしまうとは。
これは、私の14回の転職、職場選び、職種選び
人生の考え方、全てが招いた結果なのだ。
勝ち負けはつけられないけれど。

離婚した元旦那さんが、
慰謝料の支払い期間を終えてもまだ振り込んで来ると言う。
順調な人生を狂わした元旦那さんを責めることなく、
生活のため過酷な仕事に励みながら、
自分を見失わなかった彼女は、宝物だったと、
私と同じように元旦那さんは気づいたのだろう。