10年ぶりに短大時代の友人に会った。
一番仲良かった人なのに、
どうしてこんなに疎遠になっていたのか。
それは、私が会おうと動かない限り会うことは無い人だったから。
当時からそうだ。
彼女は、自分から会いたいとは言わない。
いつも受け身で、悪く言えば面白みの無い人。
自分から積極的に動く私とは対照的なのだ。
そんなところに魅かれ、声をかけて友人になった。
あっと言う間に10年が経ち、
今の仕事に就く時に、相談の電話をしたのがきっかけで
会うことになった。
彼女は、離婚するまで、挫折を知らない人だった。
順調に進学し、順調に就職し、23歳で結婚し・・・・
でも、旦那がギャンブルで借金を作り、
取り立ての電話に苦しむ日々を過ごした後、離婚した。
その後、工場で働いたが、低収入のため、
今の介護の仕事に就き、看護助手の仕事に代わり
正職員として病院で働いている。
何十万かの賞与も貰っていると話す彼女は、
安定した生活の中、穏やかな顔をしていた。
この歳で夜勤もしていればやつれているのではないかと
心配していたが、相変わらず清楚な雰囲気で、ホッとした。
年金受給予定額が私と同じくらいと聞いて、
私は、複雑な思いがした。
50歳近くで離婚して、働き出した主婦と
働き続けている独身の私と、
老後の収入が同じくらいになってしまうとは。
これは、私の14回の転職、職場選び、職種選び
人生の考え方、全てが招いた結果なのだ。
勝ち負けはつけられないけれど。
離婚した元旦那さんが、
慰謝料の支払い期間を終えてもまだ振り込んで来ると言う。
順調な人生を狂わした元旦那さんを責めることなく、
生活のため過酷な仕事に励みながら、
自分を見失わなかった彼女は、宝物だったと、
私と同じように元旦那さんは気づいたのだろう。