想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

ここに幸せはあるのか

無表情な職場から、笑顔の多い職場に代わった。
サ高住のコンシェルジュになってもうすぐ3ヶ月。
一日に何度もありがとうと言われ、
一日何度もありがとうございますと言う。
感謝の気持ちやご好意から
お裾分けや贈り物を頂くことは、少なくない。
これまでこんなに遣り甲斐のある仕事があっただろうか。
探しても探しても見つけられなかった職業に
幸運にも就いたようだ。
きっかけは、普通のマンションの清掃に
応募したことだったのだけど。

先週、一番恐れていたことが起こった。
入居者様が夜中に亡くなられたのだ。
緊急事態の対処の仕組みに問題があったのではないか、
助けられたのではないか。
私は不信感を抱いた。
でも、他の入居者様に知られてはいけない。
その日、いつもよりワントーン高い声で明るく振舞っていた。
娘様に「最後がここで良かった」と言われ、
胸が詰まる思いだった。

一週間が過ぎ、他の入居者様は、
その方は入院し戻れる見込みがないので退去したと思っている。
一人居なくなっても、いつものようにレストランで
朝食を取り、昼食を取り、夕食を取り、一日が終わっていく。
住み慣れた家で、顔馴染みの町内会の方々に
惜しまれ悲しまれ亡くなることとより、
まるで消え去るように亡くなることの方を
皆は望まれているのだろうか。

サ高住に住みたい方が増えて、どんどん新築されている。
高齢者が望む安心安全な幸せな暮らしは、
ホントにここにあるのだろうか。

97才になる入居者様(お寺の住職の奥様だった方)が
入居してから退去された方のことをお話する中で、
「なんで出ていくのかしら。こんないい所無いのにね」と仰られ、
私は思わず、ありがとうございます、と言った。
会社側の人間として。