まだ明けきっていない時間から、ゴーゴーとすごい風の音がした。
ドアを開けて玄関前を見たら、
雪はそんなに積もっていなかった。
というより、隣の人が昨晩帰宅した時に、
雪を下に落としてくれたのだと思う。
隣の人からは、何年か前に、
(ついでに)除雪してあげていたお礼にと、
野菜を頂いたことがあった。
入居してから会ったことは数えるくらいしかないその人は、
40代くらいの背の高い男性。
どんな仕事をしている人かわからない。
野菜に添えられていた手紙からは、
実家が農家だということや
常識のあるちゃんとした人という印象だった。
二日前、大々的に私が除雪した後、
また雪が降って積もったために、
「今度は、俺が除雪しよう」と思ったのだろうか。
(元々は、そんなに細目に除雪をする人ではない)
こんなことがうれしかったりする。
ここのアパートの住人同士、交流はほとんど無い。
学生の頃や若い頃に住んでいたアパートは、
こんな冷たい感じでは無かった。
時代なのかもしれない。
他人と関わりたくない人が増えていると思う。
今は、私もそのひとり。
そんな中で、いちいち言葉は交わすことのない、
こんな気遣いがうれしかったりする。
他人とは関わりたくない、人付き合いは面倒という人でも、
やはり人間というのは、
誰かと繋がっている安心感がほしいものなのだと思う。