手紙を書くのは、敷居が高い。
字が上手くないから、上手く書こうとする緊張で、
文章がまとまらない、漢字や送り仮名を間違う。
パソコンのように簡単に消したり、移動したり出来ない。
いつからだろう、手紙もパソコンで打ち、
最後に手書きで名前を書く、外国の人のように。
カッコつけているわけではなく、
それほど手書きが大変だから。
そんな大変な作業が、大変じゃなかった時代がある。
小学生の頃だ。
文通が流行っていて、
積極的に本州の小学校に手紙を出して、
文通相手を募ったりしていた。
毎日、郵便ポストに私宛の封筒が届く。
自分が出すことより、届いた封筒を開けるのが楽しかった。
文通相手が多くなり、返事を書くのが大変になった。
子供だった私は、とんでもない失礼なことをしたことがあった。
相手の名前部分を空欄にした手紙を何枚も作り
(当時は、コピー機などなく、カーボン紙を使った)
それを複数の人に送ったのだ・・
また、書くのが大変になり、
イラストばかりを送り、相手に怒られたこともあった。
最後に手書きの手紙を出したのは、12年前。
入院している父宛だった。
いなくなると困ると…リハビリ頑張ってほしいと。
初めて父に書いた手紙が、届いていないというので、
郵便局に配達確認をした。
亡くなった後、引き出しから開封された私の手紙が見つかり、
届いていた、間に合ったと知った。
あの手紙は、書きながら、
まるでこれが最後とわかっているように
涙が止まらなったことを思い出した。
昔は、カワイイ便せんや封筒を選ぶのが楽しく、
何冊もストックしていた。
今、お店で見かける度に欲くなるのだけど、
宝の持ち腐れになるだけだろう。