完璧な応募書類、選考に落ちるわけがない、
自信満々で投函する。
書類選考が通ったら、電話で面接日時の連絡が来るはず。
ダメなら帰ってくる。
郵便屋さんが来て、ボトッと不愛想な音をさせて行く。
いい知らせを待っている心がキュッとする。
大きな封筒には、私が自信満々で送った応募書類が入っている。
あれだけ丹精込めて仕上げた書類が、
申し訳なさそうな言葉を並べた文書と共に帰ってくる。
私は、切り捨てられたのだ。
再び大海の漂流者に逆戻り。
何度もそんなことが続いたら、いい加減、
泳ぐ気力を無くし、ただただ漂う…
というのが、仕事に就くまでの求職者の日々。
今回はどうなるかわからない。
そもそも書類選考に落ちても
悲観することはないのだ。
雇う側の採用したい人物像と違っただけ、
また、他にもっといい人がいただけだ。
初めからそんなに入りたいところではなかったと思えば、
落ち込みもしない。
もっと他のいいところに行くために
通らなければならない道だったと思えばいいのだ。
転職回数の多さと、仕事探しの苦労経験は比例する。
求職活動の話をさせれば、長編私小説が書けると思う。
そんな大変な思いをすることがわかっているのに、
なぜ辞める決断をしてしまうのだろう。
…まだ仕事というか、職場というか、
働くということに”何か”を期待しているのかもしれない。
定年まで勤め上げた父や弟とは、
違う思考回路を持っている私。
父は生前、生活が安定しない私を
「不幸だな」と母に言ったらしいが、不幸ではない。