想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

活字の人

喪中の葉書が届いた。
年賀状は「今年が最後」にしていたから、
どこからも届かないと思っていた。
差出人は、昔のアルバイト先の人。
歳はたぶん5歳以上離れていたと思う。
出身大学が私の第一志望の大学ということで意気投合し、
当時は、兄のような存在だった。

妻が9月に・・、愛猫が1月に・・、とあった。
子供がいないのでネコを可愛がっていて、
年賀状にはいつも妻とネコの名前が連なっていた。
昨日届いた葉書には、彼の名前だけ。
いつも並んでいた活字が消えた。
父が亡くなった時には、『お悔やみ欄』を見て、
まさか父が活字になるなんて、
と思ったことを思い出した。

彼とはたまに電話で話していた。
と言っても、彼がかけてきた、
投票の「お願い電話」のついでにだ。
10年以上前、ブログを勧めたこともあった。
勧めておきながら、訪れて読むことはほとんどなかった。
(彼には申し訳ないが、あまり面白くなかったので)

愛するものが今年一度にいなくなり、
今どうしているかが心配になった。
もしブログを続けているのなら、
近況がわかると思い探したら見つけた。
彼は律義に続けていた。(もともと書くことが好きな人だった)
自分で料理をして、甥とお酒を飲んで、
元気に(?)暮らしているようだった。

ずっと傍にいた人がいなくなる大きな喪失感を
ずっとひとり暮らしの私は、味わうことは無い。
守られることは無い、煩わしいことも無い、
小さな哀しみや不安や淋しさを積み重ねる、
それが、ひとり暮らし。