想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

下の階の住人の話

アパートの住人とバッタリ会うことは少ないのだけど、
なぜか例のクレーマーの奥さんには、運悪く会ってしまう。
私はあの日のことは忘れたみたいに、明るく挨拶をするが、
彼女は顔を向けることもなく、ぼそぼそと小声で言うだけ。
あの時は、ドアを叩きながら、大きな声で
文句を言った人と同じ人とは思えない。

あんな陰気なオーラを出す人と、これまでにも遭ったことがある。
前の職場の責任者2人や、またずっと昔にも。
爽やかな印象の人が善人とは限らない。
が、やはり第一印象で陰気、陰湿と感じた人に、
良い人は少ない。

部屋にいる時間が長いと、
聞こえてくる音だけで、下の部屋の生活がわかる。
家族の会話はほとんど聞こえない。
笑い声がすることも最近ではほとんどない。

ご主人は、6時半に起き、朝食も取らずに出勤して、
夜8時過ぎに帰ってくる。
奥さんの方は、9時半に起き出す。
洗濯はしているようだが、料理をしている音がしない。
一番不思議なのは、4才位になるであろう女のコの声がしない。
夜にたまに走り回る音はする。
そして、たまにぐずるように泣く声は聞こえる。

女のコが赤ちゃんの頃は、幸せそうな笑い声は聞こえたから、
たぶん病気(障害?)のあることがわかり
母親である彼女は、育児ノイローゼのような状態に
なっているではないかと思う。

下の階が発する暗いエネルギーを感じながら、
上の階の私は、生活し続けている。
たまに台所などで物を落としたりした時や、
下で大きな音がすると、
また、"やって来る"のでは?と思う。

唯一の救いは、言い争う声や怒鳴る声がしないことだ。