想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

不定愁訴外来の先生

スラッと背が高く、サ高住に入居するまで、
お手伝いさんのいる家庭で過ごし、
ゴルフが趣味の若々しいその方は、
90代になっても、お年寄りには見えなかった。
ガンが見つかってからというもの、
一気にお年寄りのようになり心配していた。
「目も悪くなるし…」と負の要素を並べ始めたので、
「今までいい所があり過ぎたんですよ!
背も高いし、カッコイイし…!」と言った。
すると、元気を取り戻したと腕を上げて笑った。

私は、まるで自分は、
太鼓持ちやお調子者なんじゃないかと思う。
でも、嘘では無く、お世辞でもなく、
その時にただ"元気にする言葉"が閃き言ってしまう。
そうやって、どの入居者の方にも接していると、
好かれていると言われるのは、当然なのかもしれない。
まるで、人気の不定愁訴外来の先生だ。

でも自分自身は、どうだろう。
身体の不調を抱え、生活の不安だって抱えている。
良さそうな病院が見つからない、
その前に何科に行ったらいいかわからない
という理由で、先延ばしにしている。
やっと病院に行ったら
「なんでこんなになるまで来なかったんだ」と
医師に怒られるかもしれない。
医者は、そこに辿り着くまでの経緯もわからず、
患者を怒るものだ。

私の不定愁訴外来の先生は、過去の自分自身。
心の中にいて、いつも私を励ましてくれる。
睡眠時間を十分に取ることや、
カラオケに行って心を無にすることを勧めてくれる。
これだけ長い間一人暮らしをしていると
今更、自分以外の人に
不定愁訴外来の主治医を任せられない…