スラッと背が高く、サ高住に入居するまで、
お手伝いさんのいる家庭で過ごし、
ゴルフが趣味の若々しいその方は、
90代になっても、お年寄りには見えなかった。
ガンが見つかってからというもの、
一気にお年寄りのようになり心配していた。
「目も悪くなるし…」と負の要素を並べ始めたので、
「今までいい所があり過ぎたんですよ!
背も高いし、カッコイイし…!」と言った。
すると、元気を取り戻したと腕を上げて笑った。
私は、まるで自分は、
太鼓持ちやお調子者なんじゃないかと思う。
でも、嘘では無く、お世辞でもなく、
その時にただ"元気にする言葉"が閃き言ってしまう。
そうやって、どの入居者の方にも接していると、
好かれていると言われるのは、当然なのかもしれない。
まるで、人気の不定愁訴外来の先生だ。
でも自分自身は、どうだろう。
身体の不調を抱え、生活の不安だって抱えている。
良さそうな病院が見つからない、
その前に何科に行ったらいいかわからない
という理由で、先延ばしにしている。
やっと病院に行ったら
「なんでこんなになるまで来なかったんだ」と
医師に怒られるかもしれない。
医者は、そこに辿り着くまでの経緯もわからず、
患者を怒るものだ。
私の不定愁訴外来の先生は、過去の自分自身。
心の中にいて、いつも私を励ましてくれる。
睡眠時間を十分に取ることや、
カラオケに行って心を無にすることを勧めてくれる。
これだけ長い間一人暮らしをしていると
今更、自分以外の人に
不定愁訴外来の主治医を任せられない…