生まれてからずっと同じ家に住んでいる人や
生家が残っているという人は、いいなと思う。
16歳で親元を離れ、途中実家に戻った事があるが、
ほとんど賃貸アパートで生活している人生だった。
心の拠り所になる家が残っていない。
自分が帰る港は、家じゃなく、
住んでいるこの街のように感じる。
住む家は変わっても、
街にアンカーを下ろしているから
なんとなく安心していられた。
その街が、今、都市開発とか、新幹線の工事で、
変わろうとしている。
たくさんのお店が閉店、逆に新しいお店が
次々とオープンするという、落ち着かない状態になっている。
昔からあるものが無くなる寂しさと、
新しい建物やお店へのワクワク感と。
デパートの営業最終日には、多くの人が集まり、
時に涙を流しながら惜しむ。
でもきっとその人は、華々しい新規オープンの日、
笑顔でやって来るだろう。
車の買い替えの時と同じ。
長く乗った愛車が引き取られて行く時、
胸が苦しくなるくらい悲しい気持ちになるのに、
ピカピカの新車に乗った途端、
もう前の車のことを忘れてしまうのだ。
アンカーを下ろしたこの街の変化を
車の買い替えの時のように、
受け入れていける、だろう、か。。。