想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

ノスタルジア

慣れ親しんだビルが壊され、
夢のような娯楽を詰め込んだビルの建設が
あちこちで進められている。
住んでいる街が、別の街に変化していく。
同じ名前でも、私の知らない街になり、
私もいずれその景色の中から消える。

昔、ここにこんなデパートがあった。
あそこの角には大きな瀬戸物屋さんがあった。
電車は、道路の下を走っていて、
坂の向こうに見えた景色を今も覚えている。
セーラー服の私は、4車線の奥に見えるお店に行っていて、
食料品を左手にぶら下げ、右手にお米、
脇にクリーニングを挟み、
横一列で迫ってくる車を尻目に、
4車線道路を駆け抜けていた。

インターネットが普及して、グーグルマップで
ある時期からの街の様子は、
調べようと思えば、見られる時代だ。
でも、それ以前の街の景色は、
その時代にそこで生活していた人しかわからない。
同じ時期に同じ場所で生活していた人の
記憶を画像データにして繋げられたら、
あの時の”この街”を蘇らせることが出来るのに。
私はあの時代の”この街”が見たくてしょうがない。

今、生きている人は、空中回廊のある街が
スタバのあるショッピングモールが、
レジの無いお店が、”この街”になる。
人々が記憶するまでもなく、
データとして残されていくから、
年月が経っても、いつでも”あの頃”の街が見れるから
いいな、と思う。

未来より過去の方が長い年代になると、
郷愁に浸ることが多くなる。