想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

ビ・ジ・ネ・ス

やる気が出ない。テンションが低い。
出来るなら、辞めたいという心境。
ちょっと前まで、同僚はどうでもいいけれど、
入居者様とは離れがたいから、ここで働き続けたいと思っていた。
それがある”小さな事”で、変わった。

その入居者様ご夫婦は、千葉県から引っ越されてきた方で
遠く北海道の暮らしは、寂しく慣れないだろうと思い、
入居当初から、気遣っていた。
その甲斐あってから、他のマンションが出来上がり次第
転居する予定だったのを変更して、残ってくれた。

あの日、夕食の対応時にその”小さな事”が起こった。
レストランは、自由席。
今はコロナの関係で席数を減らしている。
自由席にも関わらず、自分のいつもの席に拘り、
他の人が座っていると怒る方が数名いらっしゃる。
慣れない夕食の対応で入居者様の流れがつかめず、
その入居者様ご夫婦が、拘りの強い方の席に座り、
食事を始めたのに気づかなかった。
そして気づいた時、トラブルを避けるために咄嗟に
食事中にも関わらずお願いし、隣の席に移動させてしまった・・・
そのことで、ご夫婦は怒り心頭。
理由も言わずに(あの場所で言えるわけがない)
食事中に移動させられたことに腹を立て、
何度お詫びしても、聞き入れていただけなかった。
もともと精神的な病をお持ちの奥様は、
再度、部屋を訪ねてお詫びしようとした私に
インターフォン越しに「けっこうです」仰った。

悪いのは、100%私だ。
トラブルで不快な思いをさせたくない一心で
もっと不快な思いをさせてしまった。
あの日の出来事で、これまで気遣ってきた全てが無駄になった。
心に空洞が出来た。
リーダーは、(そんなこと)何度もあった、と呟いていた。
所詮は、ビジネス、と言った遅番専門の先輩は言った。
そうなんだ、過度な優しさや気遣いなど要らなかったのだ。
ビジネス、生活のためだ、と思いながら、
午後から出勤することにしよう。