母は、年老いた時、
子供が親の世話をするものだと思っていて、
事実、自分は親の面倒を(同居はしないまでも)
見て来たという気持ちが強い。
その母に、私が「実家に戻って暮らすことは無い」と言ったために、
母は、90代になって以降も、ひとりで暮らすことが不安で
眠れない日々が続いたりしていた。
私は私で、親不孝をしているような、でも、
自分の老後を考えたら、母の思うままに出来ない後ろめたさに、
重い気持ちの日々を過ごしていた。
またこの時期、弟が中心となって、
相続登記の手続きを進めていたから、
まるで、母との別れが現実に近づいているような
怖さとの闘いでもあった。
母は、あてつけのように、友人と共に
Aさんの暮らすサ高住の見学に行くと言い出した。
町の重鎮のような人だった旦那さんが亡くなった後、
Aさんと母は、サークル(コーラス)の仲間となり親しくしていた。
Aさんはそこに転居してから、若返り楽しく暮らしていると
噂で聞いていたようだった。
自分もそこに入居したい!
そこに入れば、寂しさや不安から解放され、
楽しく暮らしていける、と思っていた・・・
見学に行った日、Aさんが母に言ったのは、
「あんた、誰?」だった。
いつもの歓迎する言葉も笑顔も無かったらしい。
名前を言っても思い出して貰えず、
コーラスで歌った歌だけ、一緒に歌えたと。。。。
母は、自宅で生活することにした。
89歳になるが、今年もパークゴルフの大会に出るほど元気な母。
私が、月に一回ほど掃除や雑務をするために実家に行くことにする。
姉は、パーキンソン病の旦那の世話があるので、
電話だけで見守りをする。
弟は、車で頻繁に温泉や買い物に連れ出してくれている。
弟の存在が最も頼もしく、うれしいようだ。
実家の庭