想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

シンガーソングライターになりたかったあの頃

ストリートピアノを弾く”よみぃ”さんの動画を見た。
鍵盤の上を滑らかに流れる指が奏でる音楽、
心奪われ立ち止まる人々。
誇らしげでもなく、ただ楽し気な姿に、見入ってしまった。

大人になって何に向いているかわからないと言う人は、
子供の頃にご飯を食べるのも忘れるくらいに
夢中になっていたことを思い出したらいいということだが、
私の場合、オルガンだった。
得意だった絵でもなく、オルガンだった。
母にご飯だよと呼ばれてもすぐに止められなくて、
ずっと弾き続けていた。

そのオルガンは、従姉妹のお下がりで、
よく使うドの高い方のドが壊れていた。
当時はピアノを弾きながら歌うシンガーソングライターが
活躍し始めた頃だった。
詞を書くのも趣味だったから、作詞作曲もしていた。
自分の声とオルガンの伴奏が一体化するのが快感だった。
でも正式に習ったことが無いから、
指使いはデタラメ、楽譜もちゃんと理解していないまま、
全部暗譜して、ただがむしゃらに弾きまくっていた。
クラスの合唱コンクールでは、たまたまピアノを
習っているコがいなかったから伴奏を任された。
伴奏もオリジナル。
無茶苦茶で滅茶苦茶なピアニストだった。

そこまで子供がのめり込んでいたら、
普通の親なら、新しいオルガンかピアノを買ってあげよう、
才能(?)を伸ばしてやろうと思う気がするが、
うちの親は、全く何もしてくれなかった。

”よみぃ”さんの指は、しなやかで長い。
私の指は、1オクターブがやっとなくらい短い。
母は、私がいくら弾くことが好きで好きでも、
限界の来ることがわかっていたのではないだろうか?
そのくせ『エリーゼのために』が聴きたいとか言っていたのだけど。