3年前位のこと、中学のクラス会で私に会いたいと、
担任の先生が言っているからと強く誘われたが断った。
先生が会いたいのは、中学生の私だ。
わざわざ夢を壊しに行くのもなんだか…と欠席した。
何か月が経ち、先生が亡くなったと聞いた。
余命宣告を受け、どうしても会いたい人の中に私がいたようだ。
夢を壊さないで良かったと思う・・
昔は会いたい人の近況をなかなか知ることが出来なかったが、
インターネットが普及した現代は、簡単に出来る。
昨日の夜、たまたま見つけてしまった・・・
私の知っている彼は、
まだ社会人になり切っておらず、
私もまた、一回りも年上だというのに、未熟な大人だった。
でも先輩気取りで、意見をしたりしていた。
「営業に異動になったら、辞める」と言った彼に、
「なんですぐ辞めるって言うの?嫌だと思うことでも、
やり続けていたら得るものってあるんじゃないの?」と言った。
なかなかカッコイイこと言ったなあの時、と時々思い出していた。
ただ、彼が好きで辞めてほしくなかっただけだったのだが。
見つけてしまった彼の風貌に驚いた。
当時横顔を見ながら、「なんていい男だ」と思っていたのが
嘘のように、普通の50代のオジサンになっていた。
しかも営業の仕事の幹部。
すっかり良き父親となった彼はもう別人だった。
私は、風貌は年相応のオバサンだが、
あの時と同じ独身のままだから、中身は変わっていない。
キャリアを積んで一人前になった彼への嫉妬か、
もう昔の彼が存在しないことのショックか、
昨晩は、なかなか眠れなかった。
私は、余命を宣告されても、会いたいとは言わないだろう。
夢は夢のまま、思い出のままがいい。