想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

思い出のままで

3年前位のこと、中学のクラス会で私に会いたいと、
担任の先生が言っているからと強く誘われたが断った。
先生が会いたいのは、中学生の私だ。
わざわざ夢を壊しに行くのもなんだか…と欠席した。
何か月が経ち、先生が亡くなったと聞いた。
余命宣告を受け、どうしても会いたい人の中に私がいたようだ。
夢を壊さないで良かったと思う・・

昔は会いたい人の近況をなかなか知ることが出来なかったが、
インターネットが普及した現代は、簡単に出来る。
昨日の夜、たまたま見つけてしまった・・・

私の知っている彼は、
まだ社会人になり切っておらず、
私もまた、一回りも年上だというのに、未熟な大人だった。
でも先輩気取りで、意見をしたりしていた。
「営業に異動になったら、辞める」と言った彼に、
「なんですぐ辞めるって言うの?嫌だと思うことでも、
やり続けていたら得るものってあるんじゃないの?」と言った。
なかなかカッコイイこと言ったなあの時、と時々思い出していた。
ただ、彼が好きで辞めてほしくなかっただけだったのだが。

見つけてしまった彼の風貌に驚いた。
当時横顔を見ながら、「なんていい男だ」と思っていたのが
嘘のように、普通の50代のオジサンになっていた。
しかも営業の仕事の幹部。
すっかり良き父親となった彼はもう別人だった。
私は、風貌は年相応のオバサンだが、
あの時と同じ独身のままだから、中身は変わっていない。

キャリアを積んで一人前になった彼への嫉妬か、
もう昔の彼が存在しないことのショックか、
昨晩は、なかなか眠れなかった。
私は、余命を宣告されても、会いたいとは言わないだろう。
夢は夢のまま、思い出のままがいい。