想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

ケーキを4つ

一週間前の朝、下の階の奥さん(30代?)が
突然、ドアをガンガン叩いて来たことで、一時は転居を考えた。
他の人が出した騒音を私だと思い込んで、
こんな嫌な思いをさせられるなんて!
しかも同じように理不尽なことで会社を辞めたばかりだ。
バラ色の有休消化の休暇のはずが、一週間、真っ暗だった。

そんな中、短大時代の友人からランチの誘いがあった。
彼女から誘ってくるなんて珍しい。
彼女はいつも受け身だった。
思えば、この会社に入る時に
相談の電話をしたのがきっかけで、
定期的に再び会うようになっていた。
2年半前、マンションの清掃の仕事に就くかもしれないと
落ち込んでいた時に、彼女の話が聞きたいと思った。
(結果的に、サ高住のコンシェルジュになったのだが)

私から見れば順調な人生を歩んで来た彼女、
23才で結婚して、子供を産んで…、
それがだんなさんのギャンブルの借金のせいで離婚、
幸せな暮らしがガタガタと崩れ、
マンションを売り、アパートに引っ越し、
夜勤のある介護の仕事に就いた!
彼女が介護!?全く想像出来ないことだった。
あれから20年位が経ち、今ではボーナスを貰って
経済的にほぼ安心の生活が送れるようになっている。

自分の過去の話で、恨みがましいことは言わず、
相変わらず、上品で穏やかな雰囲気のままだ。
あれだけ苦労をしても、短大時代のままの彼女だった。
私の退職の話でも、責めるでもなく、
全面的に私の味方の言葉が、うれしかった。

帰りにデパ地下で、同居している息子さんと
二人分のケーキを4つ買う姿を見ていて、
この人は私の宝物だと思った。