想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

老後資金より大切なもの

先月まで勤務していたサ高住は、
富裕層が生活する高齢者向け住宅。
老人ホーム、介護施設ではない。
介護が必要になると退居ということになる。
富裕層と言っても範囲があるが
お金に困っていないということでは、
裕福な人々の集まりと言えるだろう。
そこで働いていた私は、
子無しのおひとり様、賃貸暮らし、貯金も少ない。
さぞ入居者の方々が羨ましかっただろう
と言われるかもしれないがそうでもない。
裕福な人々でも、幸せと思えないことを
たくさん見てきたから。

生活費に困っていない。
でも、健康不安があり、病院通いが日課
仕事をしていない、趣味も無い。
毎日ボーッと過ごしている。
やがて認知症を発症する。
運動をしないから、筋力が衰え、
転倒し、骨折し、入院し、介護が必要になり、
サ高住には戻れないから、介護施設に転居する。
安心安全で恵まれた暮らしをしていても、
これが一番多い流れになっている。
中には若い頃から自己管理をされていて、
100才近くなっても、自立した生活を送れている方もいる。
子が無いとか頼る人の無い方は、
90才を過ぎても、自分の後始末の手続きの交渉をする。
スゴイとしか言えない。

健康長生きに必要なのは、お金より"意志"なんだと思う。
自分のことは自分でやろうとする強い気持ち。
そんな意志を持つ一人の入居者の方に言った。
「(どうしても無理な時は)他人に頼ってもいいんだからね」
最後の日の、悲しさをまとったような
小さな背中が忘れられない。