先月まで勤務していたサ高住は、
富裕層が生活する高齢者向け住宅。
老人ホーム、介護施設ではない。
介護が必要になると退居ということになる。
富裕層と言っても範囲があるが
お金に困っていないということでは、
裕福な人々の集まりと言えるだろう。
そこで働いていた私は、
子無しのおひとり様、賃貸暮らし、貯金も少ない。
さぞ入居者の方々が羨ましかっただろう
と言われるかもしれないがそうでもない。
裕福な人々でも、幸せと思えないことを
たくさん見てきたから。
生活費に困っていない。
でも、健康不安があり、病院通いが日課。
仕事をしていない、趣味も無い。
毎日ボーッと過ごしている。
やがて認知症を発症する。
運動をしないから、筋力が衰え、
転倒し、骨折し、入院し、介護が必要になり、
サ高住には戻れないから、介護施設に転居する。
安心安全で恵まれた暮らしをしていても、
これが一番多い流れになっている。
中には若い頃から自己管理をされていて、
100才近くなっても、自立した生活を送れている方もいる。
子が無いとか頼る人の無い方は、
90才を過ぎても、自分の後始末の手続きの交渉をする。
スゴイとしか言えない。
健康長生きに必要なのは、お金より"意志"なんだと思う。
自分のことは自分でやろうとする強い気持ち。
そんな意志を持つ一人の入居者の方に言った。
「(どうしても無理な時は)他人に頼ってもいいんだからね」
最後の日の、悲しさをまとったような
小さな背中が忘れられない。