想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

消えた名医と絶品カレー

年末近くに、例の歯医者に行った。
玄関から診察室まで、見慣れた室内。
ところどころ前とは違ったところもあるが、
ほぼ前のまま、働く人だけが違っていた。
新しい主となったその先生に、
「ここの前の先生はどうされたんですか?」と
思い切って聞いてみたら、「辞められた」と言い
「お元気なんですか?」聞くと、
「辞めた後、二三回は会ったけど」と言われた。

今日、二回めの受診(クリーニング)。
院内の汚れや歯科衛生士の対応の仕方や、
もちろん先生についても、前と比較ばかりしていた。
診察台に座った時、画面にいつも
私のレントゲン写真があったな…とか、
口を濯ぐところも、キレイだったな…とか。
まるで、山口百恵の『イミテーション・ゴールド』のよう。

見慣れた窓から見える景色の中に、
ファミリーマートがあり、
今日は、あのカレーとあのスイーツを買って帰ろう!と思った。
コンビニスイーツで感動するほど美味しかった"スフレ・プリン"
そして、食べた瞬間、なんだこの美味しさは!!しかもこの値段!
と驚いた"こだわりカレー"
ファミリーマートだけが通勤途中になかった。
この歯医者の斜め向かいにはあった。
病院通いの面倒くささを、ファミリーマートに寄って、
こだわりカレーやスフレ・プリンを買う楽しみに替えていた。

前の先生が治療してくれた歯は、
先生の教えを守って手入れし、まだ部分入れ歯にする必要がない。
あの先生が、1年半かけて残してくれた歯は、
「将来、根元に黒い影があっても治療しないように。それが僕の遺言」
と言っていたことを思い出す。
"遺言"なんて変なこと言うなとあの時思った。
伝えられるのなら、伝えたい。
先生は本当の名医、ありがとうございました、って