想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

秋の気配を感じると

汗で疲労困憊していた肌が、気が付けばサラサラになり、
涼しいというより、寒気を感じた時、秋になったな、と思う。
そんな時に必ず、秋の気配という言葉と共に、
オフコースの『秋の気配』が頭の中に流れる。
そして空が高くなったなぁと、在り来たりのことを思う。

職場の書棚から借りてきた『東京タワー』を読んでいると、
私と同じように、主人公が高校に入ると同時に
親元を離れる話しになった。

一戸建てじゃなく、高層マンションじゃなく、
木造アパートに住んでいても、
常に幸せと感じるのは、あの時代があったからだ。
テレビや洗濯機・冷蔵庫も無い(途中で買って貰ったが)
もちろんお風呂もないし、トイレは共同。
お湯も出ない、4畳半の部屋。
都会(?)とはいえ、父の本家がやっている古いアパートは、
憧れていた「かぐや姫」の歌の世界そのものだった。

父は「立派な家(実家)があるのに、
こんなところがいいのか!?」と呆れていた。
私は、何不自由のない実家にいるより、
不自由だらけだけど、親の言いなりにならず、
自分の意志で生きる自由の方を選んだ。
苦労知らずで、女である私は、
その後、思い通りにならないことばかりだった。
それでも、生活し続けられたのは、
金銭的な援助をしてくれた親のおかげだったと思う。

中学生の私が、どうして、
不自由だらけの生活をしたいと思い、
しなくてもいいような苦労をしてきたのか、
それが良かったのか、悪かったのかわからないが、
今でも、夜遅くにシャワーに入る時
洗濯機が洗濯してくれることに
楽でいいなあー幸せだなーと思えるのは、
あの不自由な日々があったからこそで、
なくてはならない経験だったと思っている。

秋になると、過去が甦る。