そのトイレは高架下の、人通りの少ない場所にあった。
そのためか防犯カメラが目立つところにいくつもあって、
いかにも危なそうな雰囲気がした。
入ってすぐに女性用、男性用、身障者用の入り口があり、
女性用には扉が無かった。
こんな狭い所なら、扉があった方が危険だよね、
と納得していた。
我慢出来ないほどではないが、
ここで用をたそうと思った。
トイレは、二つあり、手前に入った。
すごく我慢していたわけでもないから、勢いよく出ない。
隣に入る人の気配がして、
「音姫」を探したが付いていなかった。
長々と続いて、恥ずかしいなと思った。
隣に入った人は用をたす気配がない。
まさか異常者や痴漢の類か?
少し気味悪い気がした。
用を済ませ、とっとと手を洗って
スピーディにここを出よう!と思って、
開けたドアのすぐ前にある手洗いで急いで手を洗った。
隣に入っている人は、まだいるのかな?
と振り返ってみたら、ドアは開いていて、誰もいなかった。
あー夏だわ。
霊をよく見る人がいるというが、
私は見たことが無い。
だいたい服を着た霊なんて、
見た人の頭の中で作り上げたものだと思うのだ。
見たことは無いが電気関連の怪奇現象は、
何度も体験している。
それは、思い違いか、たまたまなのかもしれないけれど、
何度もあるとやっぱりそういう関連では、
感じやすい体質なのかと思う。
そうそう、今日はカラオケボックスでも
似たようなことがあった。
隣の部屋からコツコツと音がするから、
リズム取っている人がいるのだろうと思っていた。
でも帰りがけに見たら、そこは、やっぱり空室だった。
あー夏だわ。