想うままひとり暮らし

16才から始めたひとり暮らし、60代になった今もこれからも

ぢっと、手を見る

休みに入って、2週間が過ぎた。
手の指を後ろに反らせるようになった。
元々細くはない指が腫れて益々太くなっていた。
所々関節部分も太くなっている。
シワシワになった手、歳のせいもあるけれど。

この仕事を始めて、2週間で痺れが始まり、指先の感覚が変わった。
ユニフォームに着替える時も、作業の時も
イライラを我慢しなければならなくなった。
過去に経験した痺れとの闘いがまた始まるのか?
どうしてこんな仕事に就いてしまったのか?

休みに入って、体重は1.5㎏増えた。
体重が増えてうれしいと思ったことなど、今まで無い。
太ってお腹が出て、温泉に行くのが恥ずかしいということはあっても、
痩せ過ぎて、脱ぐのが恥ずかしいって思ったことがない。
半年で7㎏痩せたのだ。

ここで長く働いているという同僚の指を見せてもらったら、
関節の太くなっている人が多かった。
でも、気にしていない。
働かなきゃ生活出来ない、それに
「これから嫁に行くわけじゃないし」という彼女達の口グセ。
これから嫁に行く歳じゃない独身の私は、
変わっていく自分の手を眺めていると、
石川啄木の言葉が浮かんだ。

・・・ぢっと、手を見る

見た目だけならまだいい、機能的な面が不安なのだ。
指が使えなくなると、QOLが低下する。
これから不便な思いをして生きていくのは、辛い。
手だけじゃなく、身体のあちこちも悲鳴を上げていた。
あまりの忙しさに心臓が苦しくなることもあった。
無理だな、働き続けられないな、ここで。
そう思いながら、決断出来ないでいた。

そうして時間が過ぎて行った。